ドライ沸点:ブレーキフルードに水分を一切含んでいない含水量0%時のフルードの沸点。
ウェット沸点:含水量3.5%時の沸点。
ドライ沸点はフルードに水分が一切ない状態の沸点ですが、フルード交換時に大気と接触し、なおかつブレーキ・リザーバータンク内でも常時大気と接触していますので、フルードの持っている高い吸湿性によって交換半年後には3%前後水分を吸収してしまいます。
時間が経つごとに含水量は増えていきますので、現実的にはウェット沸点を参考にした方がいいでしょう。
フルードの沸点低下で起こる不具合とは教習所でも習う”ペーパーロック現象”です。
ブレーキング時の摩擦熱がパット・キャリパーを介してフルードにも伝わります。
低くなった沸騰点に達するとフルード内に気泡が発生し、一旦発生した気泡は逃げ場がないのでブレーキ油圧機構内に残留し続けます。
次にペダルを踏んでもフルードが気泡を押し縮めるだけで極端な場合はペダルを床まで踏みこんでもブレーキが効かないということになります。
ブレーキフルードはDOT3・4・5.1の非鉱油系(グレコール系)とDOT5のシリコン系があります。
ちょっと前まではサーキット等のハードブレーキングを繰り返すような走りにはシリコン系のDOT5を選択する場合もありましたが、現在では非鉱油系のフルードの性能が著しく向上していますので、気軽に街乗りからサーキットまでということで非鉱油系が主流です。
非鉱油系(グレコール)とシリコン系は混ぜると化学反応でブレーキラインやキャリパーピストンのシーリング、マスターシリンダー等に使用されているゴム製品の劣化を早めるので上記の2種類のフルード液の混合は要注意。
ま、通常はレース専用車両以外は非鉱油系のフルードを使用していると思いますし、ましてディーラーでは通常交換であればDOT〜を指定しても非鉱油系でしょう。