Wilwood Brake System with Scalloped Rotors

Wilwood Brake System with Scalloped Rotors

ホイルとローターの隙間がず〜っと気になっていた昨今。
何気に足元のキャリパー・ローターを換えてるクルマを見ると『やるなぁ〜。』とつくづく思ってました。
元気一杯の現役時代はマイカーにGTR用を流用していましたが、今では当時より価格も安くなりたくさんのメーカーから車種別キットとしてバリエーションも増えてるので走り屋さんたちではブレーキは定番チューンですね。

お袋フィットでもお世話になってるカーショップF-1に入ってるGTRやスープラなどアルコン製のキャリパーがあたりまえに装着されているのを遊びに行くたびに目の当たりにすると、やはりホイール一杯一杯のブレーキシステムはかっこいい。
(あちらはマジっすかぁ〜の800馬力や900馬力のクルマですから見栄えやなく本気で必要なんですが。笑)

ということでフィットに『15インチNSX純正をポン付けやぁ〜。』と当初は画策していましたが、重たいし所詮純正パーツやし・・・。(NSXは片押し異径2ポットです。)
ブレンボやAPレーシングやアルコンではコンパクトカーには大きすぎるし、これまた重たいし、はたまたメジャーすぎるブレーキメーカーやし・・・。(高いっちゅ〜のもありました。爆)

そこそこ重量も軽くて、名前もあまり聞いたことがなくて、比較的値ごろ感のあるブレーキメーカーはないだろかと探しているところ、ようやくWILWOODというアメリカのブレーキメーカーを見つけました。

Wilwood : www.wilwood.com
1977年からショートトラック及びスーパー・スピードウェー等ストックカーレース車両へのブレーキシステムの供給をおこなっています。
現在でもレース車両はもちろんレースで培った技術をもとに一般自動車へブレーキシステムをフィードバックし供給しています。

ということで一般のクルマ用に各種キットとして販売していますが、フィット用はもちろんキットとしてありません。
最小限にこちらで作成するパーツを少なくしないと信頼性に関わる重要なブレーキパーツなので、直接メーカーに詳細データーを提示し問い合わせて各種必要なパーツを組み合わせ、部品毎にオーダーを掛けて直接取り寄せました。

でもなぁ。
アメリカ人はとろい上にオーダーと違う部品を送ってくるし全部揃うまでほんと苦労しました・・・。
やりとりだけでもかなりの日数がかかりましたよ。(ナイアガラ汗)

ここがリリースしているブレーキシステムは全てレース用部品ということになります。
ときどき自分でも点検&イジれる必要がありますので乗りっぱなしな方はうかつにイジると危ないですよ。

  • 素材
やっと来た。

輸送料をケチって船便で到着。
約1ヶ月かかりました。

遥々カリフォルニアから太平洋の荒波を渡ってきました。

って違う部品入ってるし・・・。
速攻航空便で返品してオーダー商品を送ってもらいました。

ムフフやなぁ。

こちらはローターのセット。

1日遅れて到着です。

どんなんか〜な〜。

やっと揃った正規オーダー品の中身全部。

ローターは2セット購入。
Scalloped Rotor (波型ローター)と予備のプレーンタイプローターです。

その他キャリパー・ベルハウジング・ブレーキライン・ブラケット・パットなどなど。

ええやろ。

ベルハウジングとローターからなる2ピース構造。
フローティングタイプじゃなくリジットタイプです。

ローター径は12.19"(309.6mm)。
16インチホイルでいっぱいいっぱいの大きさです。
下のプレーンタイプと見比べると小さく見えますが同一サイズです。

ローターの厚みは0.81"(20.6mm)。

パットの当り具合はこんな感じ。

波型形状のメリットは、
1: 放熱性に優れている。
2: ドリルドローターより軽量でさらに耐久性がある。
(ドリルドはクラック発生がつきもの。)
3:スリットローターの特徴も兼ね備えている。
(パットカスやガスを掻きだす。)
(Wilwood談。)

重量(同メーカーの同サイズ309.6mm x t20.6mm)
Scalloped Rotor 2.65kg
Drilled Rotor 3.6kg
Plane Rotor 4.0kg
純正アリアローター
(242mm x t21mm)
3.7kg

* 2ピースローターなので、ベルハウジング&ボルトの重量(合計 0.65kg)を加算する必要があります。

手にもったらデッカイよ。

コンパクトカーは車重も軽いのでキャリパー本体の重量も軽いに越したことがないということで Wilwood の Billet Dynalite を選択。
なんと1.4kgしかありません。
(純正アリアキャリパー:3.5kg)

このキャリパーシリーズの中からピストン径をプライマリー側1.38"(35.1mm)、セカンダリー側1.75"(44.5mm)の異径タイプを選びました。

片側全部。

片側全てのパーツです。(ブレーキライン含まず。)
パット、ボルト類も含め全ての総重量は約5.95kgです。

同様にアリアローター・キャリパー・パット・ボルトの総重量は約7.9kg。(ブレーキライン含まず。)

実に2.0kgの軽量化になります。

  • 前準備
えらい出費やで。

仮組みしたら履いていたSSRのKRANZ(16インチ)が3ピースホイルのためピアスボルト部分にキャリパーが干渉!。
『やっぱりアカンかったか〜!。』ということで1ピースのリム無しホイルをブレーキのために急遽購入しました。(爆)

入ったでぇ〜。

新たに購入したホイルも『これなら入るやろぉ〜。』とヤマ感で買ったんですが、しっかり型紙でホイル内側の寸法を確認するとOKでした。

ちなみにNGだったSSR KRANZの場合も同様の方法で当初確認しておりNGであることが分かってました。
寸法が出てるので淡い期待など通用するはずないですね。(笑)

ええんちう〜。

念のために現物合わせ。

ムッフッフ〜。
早く装着したいです。

ギリギリやなぁ。

強度確保のためのホイル外側の肉厚の部分とキャリパー外側の隙間は4mmほど。
なのでバランスウェイトはホイル内側の肉薄部分に取り付ける必要があります。
スポークとキャリパーの隙間は10mmほど開いていました。

ちなみに16インチホイールでは最高312mmローターにポルシェキャリパーの組み合わせが限界です。

ペイントシーラント加工。

ついでにまったく使用することがないCPCペーントシーラントの補修用ボトルでホイルにCPC加工。

パットカスの付着をある程度は容易に洗い流すことができますが、ハードな走りをしたときのカスまでは取れません。
焼き付けされてしまうので。

きっちり慎重に。

ワッシャ入れてベルハウジング(ハット)とローターを規定トルク(20.33Nm・約2キロ)で締め付け。

全てのボルトを対角で徐々に規定トルクへ近づけて締め付けていきます。
1箇所ずつ、いきなり締めたらだめですよ。

ワイヤーロック。

ワイヤーツイスターを使いボルト間をステンレスワイヤーでワイヤーロック。

これはネジロック剤を使わずにボルトの緩みをある程度防げます。
ネジロック剤を使用すると消耗品のローター交換の時にヘタするとボルトが外れず最悪は折れてしまうので。
高温にさらされる場所ですしね。

割ピンは見栄えがカッコ悪いしねぇ。

鋼のキャップスクリューとステンレスチューブ。

キャリパーのブリッジ部分が割ピン仕様だったので見栄えを考えボルトでブリッジすることにしました。
気持ち的にキャリパーの”開き”を少しでも抑えられればいいかなと思いますが。

お手軽で見栄えも上々。

装着するとこんな感じ。

キャリパー本体には手をつけていないですが、パットの地金部分には本来割ピンが通る穴を拡大加工する必要があります。
ドリルで拡大加工して穴周辺を引っかかりがないようにさらってやればOKです。

  • いよいよ装着
短い間でしたがお勤めお疲れさまでした。

アリキャリローター。

パット交換もしていて制動は必要十分でしたが見栄えも必要ということで。
今までお疲れさまでした。

キレイキレイ!。

キャリパー外してローターも。
ワイヤーブラシでサビや汚れをキレイキレイしましょ。

ローター固定の皿ネジはかなり固着しています。
プラスのボルトなので頭を舐めないように慎重に。

バラしは簡単ですね〜。

余裕っす。

キャリパーブラケットの取り付け。

ここはネジロック剤(Loctite271)をちょこっと付けて規定トルク(63.7Nm・約6.5キロ)で。

組み付け自体は部品点数が少ないので簡単ですが、ブレーキは最重要部品ですから慎重に。
ヘタすると自分のみならず他人の命にもかかわりますので。

ここまで簡単ですね〜。

ちゃっちゃとローターとキャリパーを取り付けてあとはステンメッシュのブレーキラインを取り付けたら完成!。
ローター固定ボルト(皿ネジ)をステンの新品に交換しました。

キャリパーブラケットとキャリパーを取り付けるボルトもネジロック剤少々に規定トルク(40.67Nm・約4.1キロ)でね。

キャリパーは異径ピストンタイプなので装着方向が指定されています。(ローターの回転方向指示)

比べてみよう。

アリアローターとの比較。

ウェーブローターと比べるとそんなに大きくないように見えますね。
プレーンローターの場合と比較するとめっさデカイですが。

あとはエア抜きしてフルードの漏れがないかも確認して、いきなり公道を走らずに慎重にブレーキの具合を確認。
異常がないようなら慎重にパットとローターのアタリを出すために急ブレーキは控えて慣らしです。

かっちょええ〜。

かなりいい感じです。
街中で気づく人ってあまりおらんやろなぁ。

いっぱいいっぱい。

ローターの山が8つでホイルのスポークが9本なのが気に入らんです・・・。(泣)

ブレーキマスターシリンダーがノーマルでキャリパーが片押し1ポットから対向4ポッドになりましたが、ペダルの初期の踏み込み量がほんの少し増えたかな?という程度です。
これは大径ローターにもかかわらず『カックンブレーキ』になりにくいいい方向に向いたと思います。

効きは踏み込む力加減によって制動をかなり微妙なところまでコントロールすることができます。
気持ちペダルを抜いただけでもしっかりリリースされ制動が弱まります。
ステンレスメッシュ・ブレーキラインとの相乗効果だと思いますが、今まで大きいピストン1つでパットをディスクに押し付けていたのが、小さい4つのピストンで挟み込んでいるので踏力が1箇所に集中せず均等に分散されているので、踏力のコントロール性の向上につながっています。

気になっていた本気走りの時のブレーキの前後バランスですが、しっかりブレーキコントロールしてやれば問題ありませんでした。(シビアなコントロールができる分、多少慣れは必要だと思いますが。)
街乗り程度では純正然としてまったく気になりませんし、高い次元域でのブレーキコントロールというシビアでめんどくさいことをしなくてもいいです。
(60超えのお袋はブレーキングしやすいと言ってました。)

大径ローターなので『いきなりロックするんとちゃうのぉ〜。』と思われがちですが、コンパクト設計なキャリパーに使われているパットはアリアキャリパーに使われているパットより表面積が小さいですし、上でも書いたようにかなりコントロール性がいいのでいきなりロックや効き過ぎてコワイィ〜ということはありません。
もしかすると純正のブレーキマスターの容量とコンパクト設計のキャリパー容量とがきっちりあっているおかげかもしれませんね。

強めのブレーキングでは『グッグッグッ!』というスキャロップ・ローターによるパット表面を掻いている感触がペダルに伝わってきます。
スリットローターのコンテンツでも書きましたが、100%ファッションとしてならこの感触を不快に感じる方もいらっしゃるかもしれません。

フローティングタイプ独特のチューンドの証、『鳴き』はリジットタイプでは取り付け500キロ走行後では発生していません。
至って静かですがこれから距離を走っていくと純正のような当て板がパットにはありませんので『鳴く』 かもしれませんね。

と、ここまではインプレ&うんちくでしたが、私にとってはそんなんどうでもいいんです。
16インチいっぱいいっぱいの大きさのブレーキシステム。
ヨ〜ロピブレーキメーカーである外周だけウェーブ形状というパチもんじゃなく本物のスキャロップ・ローター。(ウェーブローター)

ん〜〜〜。最高です。


Wilwood Drilled Rotor

ローター径 :12.19"(309.6mm) ローター厚 :0.81"(20.6mm) 重量 :8.0lb(3.6kg)

Wilwood Drilled Rotor

Wilwood Drilled Rotor
ホール径は一般的なドリルドローターより大きめ。

ディンプル形状。

ドリルホール表面は面取りされたディンプル形状。
大きなホールがさらに大きく見えます。

ホイル内パツパツ度アップ。

スキャロップ ローターより大きく見えます。

燻し銀度アップかな。


ENDLESS 特注パッド
エンドレス特注パッド

Wilwood Billet Dynalite 用のエンドレス製特注パッド。
エンドレスだけじゃなく、プロジェクトミューなど各ブレーキパッドメーカーは特注に応じています。

各メーカーではパッドの地金データを持っていますが、マイナーなキャリパーに交換した場合でも、パッドの地金さえあればそれを利用して作ってくれます。
また、パッドの材質もメーカーがリリースしてる中から選ぶことができますので、選択肢は幅広いです。
やはり特注ということですから価格は多少高めになりますが。


番外編 1
アジャスティングボルト。

キャンバーボルト・・・もといアジャスティングボルト。
純正品です。
1本ないし2本使用する場合もあります。

1本使用で約1/4度(+-0.25度)ほどのキャンバー角を付けることができます。

固いけど簡単っしょ〜。

今回はスピンドル(ナックル)の上側だけ交換。

というのもパンクして交換したピレリドラゴンがショルダー部すっきりタイプじゃないリムガード有りタイヤだったために、7J+35ホイルでは見た目出てしまうため。
車高は3cmほどしか落としてないので。
くれぐれもタイヤは現物確認してから買いましょう。(泣)


番外編 2

無限 Active Gate Brake System
無限 Active Gate Brake System

Brembo
Brembo

SPOON Brake System
SPOON Brake System

ENDLESS Brake System
5穴化
ENDLESS Brake System

Brembo
5穴化
Brembo

Honda Brembo
5穴化インテグラType-R 流用
Honda Brembo

5zigen
5zigen
brembo racing

全てフィット(JAZZ)です。

5次元のデモカーを除いて全てタイ車両。
ハブを5穴流用してまでものすごく器用ですね。
キャリパー&ローターの組み合わせの問題か、単なるポン付けの為かの5穴化だと思いますよ。

 

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